私は仕事柄、日々さまざまな企業のオフィスにお邪魔することがあるのですが、最近のワークプレイスの進化には本当に目を見張るものがあります。
オフィス仲介やお付き合いの中で様々オフィスを回っていると、特に日本や世界を代表する大手企業の間で、オフィスのあり方がガラリと変わる大改革が起きているのを肌で感じます。
リモートワークがすっかり定着した今だからこそ、あえて「出社したくなるオフィス」をつくる動きが加速しているのです。
あちこちの企業を訪ねていて強く実感するのは、いくら社内をオシャレにしても、そもそも「便利な場所」でないと人は集まらないというシビアな現実です。
だからこそ今、京都では四条通り沿いの超一等地に、トップ企業や優良企業がこれでもかと集中して拠点を構える現象が起きています。
やはり交通の便が良く、仕事帰りにも充実した環境がある一等地こそが、優秀な人材を惹きつける最大の磁石になるわけですね。
そんな四条烏丸の最先端オフィスに一歩足を踏み入れてみると、まず驚くのが「自分の席(固定席)」がほとんどないということ。
「フリーアドレス」という言葉は以前からありますが、今のトレンドはさらにその先を行く「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」という働き方です。
これは、その日の仕事内容に合わせて、社員が自分で座る場所を自由に選ぶスタイル。
例えば、1人で黙々と作業に没頭したい時は、周りの視線や音を遮るスタイリッシュな「フォーカスエリア(集中席)」へ移動します。
逆に、チームでアイデアを出したい時は見通しの良い「コラボワーク席」に集まり、ちょっとした相談なら通路沿いのオープンなスペースですれ違いざまに済ませてしまう。
このように1つの広大なフロアに多様な役割を持たせることで、部署の壁を取り払い、社内のコミュニケーションを爆発的に増やす仕掛けが作られています。
そんなオフィスの中央に進むと、今度は「本当にここは働く場所?」と目を疑うような、広大でオシャレな「社内カフェラウンジ」が姿を現します。
ここはお昼休憩のためだけの場所ではありません。
仕事の合間にコーヒーを淹れる数分間のうちに、たまたま居合わせた他部署のメンバーと雑談が生まれ、そこから新しいビジネスのヒントが生まれる、そんな「偶発的な出会い」を意図的にデザインした空間なのです。
時には、パーテーションをサッと閉めて災害対策本部に早変わりさせたり、最大150名規模の社内イベントやケータリングを呼んだ懇親会を開いたりと、状況に応じて姿を変える柔軟さも兼ね備えています。
さらに、今の時代を映し出す要素として欠かせないのが「サステナビリティ(環境への配慮)」です。
ある有名スポーツブランドのオフィスでは、なんと廃棄予定のシューズを粉砕した材料を使って、特注の吸音パネルやソファ、キャビネットの天板を作って配置しています。
空間全体で企業のメッセージを伝えるこの試みは、京都のオフィスビルでも形を変えて取り入れられています。
最先端の機能性にプラスして、地元の伝統的な木材やモダンな和のデザインを融合させ、まるで洗練された高級ホテルのラウンジかのような、穏やかで心地よい空間に仕上げる企業が増えているのです。
一等地にあるオフィスに、なぜ企業はここまで莫大な投資をするのでしょうか?
理由はとてもシンプルで、「優秀な人材に、選ばれる会社になるため」です。
特にこれからの時代を担う若い世代は、会社の「立地」や「働く環境」をとてもシビアに見ています。
「四条通りの便利な場所にあって、しかもこんな素敵なオフィスで、自分らしく自律的に働きたい!」と思える空間を作ることが、結果として最強の採用活動になり、社員のモチベーションを高める最大の武器になるわけですね。
京都は建物の高さ制限などもあり、東京のような超高層ビルをドカンと建てるのは難しい地域ですが、「限られたフロアを、いかに利便性の高い場所で開放的に、魅力的にデザインするか」という工夫の熱量はまったく負けていません。
日々あちこちの企業を回る私から見ても、四条通り周辺のビルの中には、外観からは想像もつかないほど先進的な空間が広がっていていつもワクワクさせられます。
もしこれから四条のオフィスビルを見かける機会があれば、ガラス窓の向こうに広がる、そんな最先端の「熱い働く空間」に、ぜひ想像を膨らませてみてください。
